身体美学的雑学Fhysical Aesthetics

天皇の軍隊 陸軍編

日露戦争は史上初の東洋人が白人を制した戦争。
この戦の講和を仲介したのは他ならぬ米国。
米国は講和の裏で日本の大国化に危機感を抱く。
早々に仮想敵国とするプロジェクトを発足。

その目的はただ一つ。
大国化の阻止。戦争を念頭においた戦略構想だ。
日米開戦より36年も前の話。

大平洋を挟んだ大国の衝突は運命かのように。
戦略どおり日本への対応は厳しかった。
日系移民には露骨な迫害をした。

では戦う相手としてどう見ていたか。
日本兵は栄養状態が悪く病気になりやすい。
だがよく訓練されている。
肉体的には劣るが単純には侮れない。
大国ロシアを破った実績がある。

かたや日本はどう見ていたか。
体位体力は白人に劣るが精神が優れている。
訓練と精神力によって白人を上回れる。

両者とも敵の認識が甘いのは同じ。
互いに敵を過小評価、自分を過大評価。
人間心理の普遍性が如実に表れている。

兵士の肉体条件

普仏戦争でフランスは一方的に敗北した。
プロイセン軍との体力差を思い知らされた。
以後体育教育に熱心になったという。

モンゴルはかつてユーラシア大陸の大半を征服。
白人諸民族がモンゴル軍に歯が立たなかった。
しかしモンゴル人は我々と同じモンゴロイド。
基礎体力が特に秀でていた訳ではない。

近代戦は兵士の体力以上に武器の性能が重要。
強い肉体は必須なれどそれだけでは勝てない。

体力も腕力など瞬発力は二の次。
それより持久力や運動神経等が重要。
プロレスラーよりは長距離ランナーに近い。
野球ならスラッガーより攻走守揃った選手。

A・シュワルツェネガーは屈強な兵士がはまり役。
だが彼の肉体は持久力や身軽さでは不利。
映画の設定は現実的ではない。

精強な米海兵隊では定期的な体力テストがある。
内容は上記項目と合致。
1.持久走、2.鉄棒の懸垂、3.反復跳び。
1は持久力、2は身の軽さ、3は反射神経。
時間、回数、時間内回数で判定する。

東洋人と白人の体力差は主に瞬発力。
持久力のマラソンでは日本人も対抗できる。
身の軽さは小柄な方が有利だ。
集団行動も日本人の得意とするところ。

日米の戦闘でそれは実証された。
小柄な日本兵は、大柄な米兵に遜色なく奮戦。
(欧州戦線でも米軍の日系部隊が大活躍した。)
結果的には米軍の圧勝で終わる。
敗因は体力差や精神力と無関係だった。

最大の敵は大本営の無知

日米は南太平洋の島々で死闘を展開した。
日本兵の質の高さを米軍は思い知らされる。
圧倒的に優勢な米軍に劣勢ながら頑強に抵抗。
米軍は想定外の苦戦、犠牲を強いられた。

鬼神の気迫で夜襲かければ米兵を圧倒できる。
大本営はそう信じて実行(強要)させた。
闇の中から死を恐れず突撃してくる日本兵。
確かに米軍にとって不気味で恐ろしい敵だった。

米軍はすぐに日本軍の戦術に対抗策打ち出す。
恐れるどころか突撃する日本兵を狙い撃ち。
全滅玉砕が常態化していく。
その悲惨さは涙なくして語れない。
米兵ですらその悲惨さに同情の念を抱いたという。
責任はすべて大本営の無知、愚かさにある。

密林で眠る英霊達

悲惨な話は玉砕だけではない。
主要な島が次々陥落して米軍の勢力圏になる。
そうなると残存兵の救出もできなくなる。
置き去りにされる兵士、部隊、傷病兵が続発。
多くの島に把握しきれないほどの数が。

日本政府は戦後、残存兵の救出活動を続けた。
成果が少なくなるにつれて規模が縮小化されていく。
そんな中で発見されたのが横井庄一氏。
さらに後の小野田少尉が最後の日本兵とされた。

だが生きていればまだ存在するはずだった。
その後も民間組織が活動を続けていた。
さすがに世紀末になると生存の可能性は低い。
遠い熱帯の密林で人知れず朽ち果てているだろう。
祖国の繁栄、太平など知ることもなく。

皮肉にも悲劇の地が今は日本人の観光地。
その現地で定期的に慰霊法要が営まれる。
薬師寺など仏教関係者によって。
それを見て日本人観光客は遠巻きに眺めるだけ。
合掌する人もいないと関係者が嘆いていた。

だが日本人観光客が不謹慎とは言えない。
ただ歴史を知らないだけ、無知なだけ。
知ったら手を合わせることだろう。
でないと英霊も浮かばれない。