天皇の軍隊 海軍編
日本は島国でも鎖国が続いたので海軍がなかった。
明治維新後近代国家として海軍が創設された。
基盤がないので欧米の技術に頼る他なかった。
明治政府が選択したのは女王陛下の海軍。
ビクトリア女王の威光の元に七つの海を支配。
パックスブリタニカ支える当時最強の海軍。
富国強兵目指す日本にとって最高の相手。
後に同じ血筋の米海軍と戦う運命にある。
当時は過酷な運命を知る由もなかった。
ゼロからの導入だったために丸ごと輸入。
軍艦から運用技術や戦術、文化にいたるまで。
食事洋風メニューが含まれる。
日本男性にない意識、レディファーストも。
海難救助は女性優先が義務づけられた。
男女混在の場合、男性は後回しにされる。
制服も陸軍よりあか抜けた印象がある。
海軍の将校はさぞ女性にもてたことだろう。
政界の元老山県有朋は陸軍育ての親である元勲。
山県は日露戦争の英雄、東郷元帥と同時期に逝去。
葬儀も同時期になるが際だった差が出た。
東郷の葬列は見送る市民で沿道が埋めつくされた。
一方の山県の方は閑散としていた。
戦後も陸軍悪玉、海軍善玉のイメージがある。
陸軍の顔はA級戦犯の東条首相。
海軍は戦争を望まなかった悲劇の提督山本元帥。
でもこの見方は少し単純過ぎるだろう。
陸軍と海軍は常に政治的ライバルだった。
しかし政争では常に海軍が負けていた。
山県の呪縛が死後も解けなかったのかのように。
立場が逆だったらイメージも違ったかも知れない。
日本人は目がいい?
欧米人の日本人イメージの一つにメガネがある。
だが日本人の視力の方が優れているという説もある。
特に夜目が利くという。
夜襲を好んだ陸軍同様なぜか海軍も夜戦を重視した。
近代の海戦は先に敵を発見した側が有利。
特に夜戦は勝敗を決定づける。
そのための夜間訓練が徹底された。
事実米海軍より夜目が利いたのは事実らしい。
驚異的な視力だったと言われる。
でも今の日本人が特にいいとは感じられない。
やはり訓練の成果なのだろか?。
専門家に聞きたいところだ。
だが時代は空母による航空戦が主体になっていた。
それでもときには艦隊同士の直接対決も起きた。
得意の夜戦では米海軍を圧倒する戦いもあった。
しかし米海軍はやられっ放しでは終わらない。
新兵器の開発で優位に立つ。
高性能なレーダーで敵を捕捉して正確に攻撃する。
科学技術レーダーには肉眼も敵わなかった。
陸軍同様得意の夜戦が通用しなくなった。
昼間に星を見た荒鷲
目がいいのは水兵だけではなかった。
飛行兵、特に戦闘機乗りは驚異的だったらしい。
空中戦もやはり先に発見した側が優位に立つ。
具体的には昼間の空に星を見る訓練をしたという。
一等星レベルなら昼間でも見えるらしい。
その視力でわずかな敵影の反射を発見できた。
戦闘機の零戦も米軍機の性能より優れていた。
優れた搭乗員と戦闘機で当初無敵を誇った。
だがやはりやられっ放しでは終わらない。
新鋭戦闘機、戦法を続々繰り出してくる。
軽戦闘機の零戦に重装備重武装の重戦闘機で対抗。
大馬力エンジンで重い機体でも零戦より高速。
排気ターボエンジン機もあった。
戦法も一撃離脱法が多用されるようになる。
空中戦をやらないヒット&アウェー戦法だ。
防弾装備も厚く少々の被弾ではびくともしない。
一方の零戦は被弾に弱くすぐ火を吹いた。
陸軍同様戦略も稚拙で勝てなくなっていく。
優秀だった荒鷲達も奮戦虚しく散っていった。
追いつめられ最後の手段となったのが特攻隊。
生きていれば花も実をある青年達が命を捧げた。
海軍もまたその末路は涙なくして語れない。
- 結論・陸軍も海軍も戦略で負けていた。
- 兵士の体力や精神力の問題ではなかった。