身体美学 概論Fhysical Aesthetics introduction

 表情編2000年

笑顔編1人類共通の身体言語

笑顔は社会的潤滑剤、その意義の大きさ、価値の高さは人類共通。
しかし民族や文化によって、表現方法に少なからぬ違いもある。

日本語には人の微笑み、笑うさまを表現する慣用句がある。
目を細める。相好を崩す。破顔一笑。ばか笑い等々。
言葉に日本人の認識が象徴的に表れている。笑う事はすなわち形を崩す事。
表情美の発達しえなかった文化故の発想、感覚だ。

精神主義の日本人にとって笑顔は、精神の表れであるからこそ大切。
ほがらかな笑顔の価値は、それを生む円満な人格の価値に他ならない。
だからどんなに崩れた笑顔でも、ほがらかであればよい笑顔とされる。
目に見える美よりも精神を見ているのだ。

前述のように笑えば形が崩れるのが当たり前。
せっかくの造形美人が崩して笑っていても、変だとは思わない。

当人もまた崩れるのは自然現象だからと、改善しようとは考えない。
そして人前ではなるべく大きな笑いは抑え、崩れが起きないよう努力する。
こらえきれない時は隠す努力をする。

それを伝統文化、女性のたしなみという見方もある。
だが生活文化ことごとく欧米に追随している今日、そこだけ伝統とは白々しい。
美を作れるけど抑えているというなら分かるが、崩れてるという現実がある。

某TV番組でお笑い系ゲストとのトークの間、某女性タレントは笑いっぱなし。
その間ほとんど顔をカメラから背けっぱなし、まともに向ける事はなかった。
だがこんな光景は日本のTV番組では日常的に見られる。

奇妙な笑顔とは?

欧米人は美にも精神と同等の価値を見る。
表情で自己表現するのが当たり前の彼らは、表情美を文化として発達させた。
それだけ美のイメージが明確、表情の不細工にも敏感だ。

米国のマスメディアが初めて日本に注目し、特集記事にしたのは今世紀初頭。
日本が国際社会に存在感を示し始め、日本から米国移民がさかんな頃だ。

そこにはすでに「奇妙な笑顔をした〜」という表現が見られる。
これが日本人の表情に対する第一印象なのかも知れない。
表情の中でも笑顔は動きが大きく、印象に残りやすい。

奇妙な笑顔とは、少なくとも美しい笑顔を意味しない。
崩れた笑顔が彼らには奇妙に映るであろう事は想像に難くない。
日本人の表情は当時も今も基本的に大きな変化はないと考えられる。

例えば国の顔、首相ならばどうか。
最近の例では宮沢喜一氏などが代表、崩して笑う典型的な日本人型だ。
欧米人が皆いい訳ではないが、政治家でも悪い人は少ない。