身体雑学21

 ■ 身体美学の姉妹編、雑学的な内容 2003年以降 

ミスコン幻想4

日本人は戦後、食生活が豊かになり体位も向上してきた。
そこで一つの幻想が生まれた。
体格が欧米人より劣るのは、食生活が貧しかったからと考えた。
欧米のような豊かな食生活をすれば、差がなくなると。

特に肉食が豊かさと体位向上の指標のような発想が生まれた。
反対に和食は過小評価され、肉食は大いに普及した。
実際体位も戦前より大幅に向上した。
さらに足長傾向や、鼻が高くなるなどの変化も起きている。
洋風の食生活、生活様式で欧米人に近づいたかのように。

それとは別にもう一つエポックメーキングな出来事があった。
昭和28年、日本人がミスユニバースで入賞したことだ。
復興しつつあった日本人の自尊心と美意識を大いに刺激した。
八頭身の概念が広まるきっかけにもなった。

日本人も体位(美も含めて)で欧米人に負けない、と考えるようになった。
さらに6年後には同大会で優勝者も輩出した。(もちろんアジア人初)
体位向上の流れと相まって、美しくなっているという信仰が生まれた。

時代はすでに半世紀近く経とうとしているが、信仰は今も根強く生きている。
おじさんたちはモデルを見る機会に恵まれると、お決まりの感慨を述べる。
「日本人もきれいになったもんだねえ。」
昔の日本人は短足胴長で、今は改善されたと考えるのだ。

では本当に欧米人に近づいているのか。
図らずもかつて日本人に自信を与えたミスコンが、答を出している。
何度も書いているように、それ以後はまったく結果が出ていない。

厳しい見方をすれば、あの時代はミスユニバース自体が草創期だった。
今より規模も小さく、入賞しやすかったのかも知れない。

さらに重要なことは、入賞した二人は戦前生れという事実。
本格的な豊かさとはまだ無縁、むしろ昔の日本人に近い世代。
つまり昔の日本人が皆短足胴長だった訳ではない。

さらに重要なことは、二人とも素人ではなくモデルだという事実。
つまり二人の美はモデルの訓練の成果。
昔の日本人だって、訓練すれば美しくなったということだ。

手足の長いモデル体形は当時も今も同じ。
現代のモデルの方が美しいとは誰にも言えない。
食生活も美容技術も今の方がはるかに恵まれてはいるが。
もし今の方が美しいとしたら、美容技術の差かも知れない。

日本の世界的スター、三船敏郎も戦前生れ戦前育ちである。
体格や風格で氏を上回る俳優が現代にいるだろうか。
(身長で氏より高い俳優はいくらでもいるが。)

冒頭で上げた足長傾向や鼻高傾向は、人種の基本型を変えるものではない。
食生活くらいで遺伝子が変わることはないのだ。
基本型の範囲内で起きている変化、これが真実だ。

白人も黒人も日本人を見て体格、体形が同じとは思わない。
日本人も彼らと並んだら違うと感じるはずだ。

同じアジアでもインド人は色が黒い。肌色だけ見れば日本人の方が白人に近い。
だが白人はインド人の方が自分に近いと感じる。基本型が同じだからだ。
彼らは日本人ほど豊かでもなければ、洋風の生活もしていない。
元々遺伝子(基本型)が白人なのだ。

結論として上記のように、日本人も訓練すればきれいになる。
だがそういう努力なしにきれいになっていると考えるのは幻想だ。