身体美学美学的女性評

由紀さおり

2012年3月1日

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昨年海外で注目され、海外で売り出され海外でブレイク。
日本人歌手としては数十年ぶりの快挙。

だが注目のきっかけは音楽ではなくビジュアル。
それが下のレコードジャケットの画像。
彼女を見い出した人物は中古レコードの中から同ジャケットを偶然発見。

情感溢れるたたずまいに強くひかれ即購入。
聞いてみるとイメージ通りの美しい曲と歌声。
たちまち虜になったと述懐している。

つまりジャケットの出来が悪かったなら何も起きなかった。
彼女のジャケットの絵には歌と共通する世界がある。
ジャケットを飾る彼女の姿は日本画を彷彿させる美の世界。
浮世絵の流れを汲む鏑木清方、上村松園、伊東深水の世界だ。
東洋的な顔立ちと演出。 まるで巨匠たちの美人画の実写版のようだ。

だが演歌の世界、演出とは少し違う。
歌自体が演歌と違うからか。
それでも美しい日本語を、美しく歌うという精神はまさに和。

控えめなアクションや表情は欧米の表現とはまったく違う。
それは演歌と似ているが違いも感じる。
日本人には欧米人と同水準の表情表現はまず出来ない。
しかし彼女の場合、それなりに美の世界が成立している。

彼女は華々しく登場したアイドル歌手とは違う。
売れない歌手として下積み生活を経験している。
成功のきっかけは偶然だった。
ラジオの深夜番組のオープニングのテーマ曲を歌っていた。

歌詞もなくスキャットだけのBGM。
だが美しい旋律と歌声が評判になった。
そこで歌詞をつけてレコードリリースしたら大ヒット。
その『夜明けのスキャット」が実力通りの地位に上げた。

奇しくも今回世界に出たきっかけも同曲。
彼女にとって二度も人生変える運命の曲となった。

彼女の場合、歌以外の活躍も目立つ。
たぶんそれなりに才能があるのだろう。
それでも本業は歌手。世界にも通用する美の世界がある。