身体美学身体雑学

男が魂奪われる美*美女よりセクシー?

美に対する憧れは本能とも言える。
人は様々なものに美を見いだしときめく。
美の感受性は個人差がきわめて大きい。

性に根差した普遍的な美の感性も存在する。
それぞれの性に特徴的に表れる感性だ。

女性なら花が代表に上げられるだろう。
多くの女性は本能的に花を好む。
抽象的に表現するなら可愛い物を好む。
いくつになっても可愛い物が好きだ。

では男性が好む美とは何か。
女性美を連想するとしたら発想が貧しい。
抽象的に表現すると力強さを持った美だ。

男性を魅了する普遍的な例は以下。
幼児にして早くも乗り物などに興味を示す。
やがてカブトムシやクワガタに夢中になる。
雄々しい雄のフォルムに瞳を輝かす。
地味な雌には見向きもしない。

大人になるととスポーツカーや大型バイク。
兵器というパターンもある。
昔なら勇壮な戦艦、今なら航空機や戦車。
とここまでなら容易に想像がつく。
ではその先には何があるのだろうか。

それは神が創造した美

クワガタの延長ともいえる生命のフォルムだ。
現在のプロ野球のチーム名も過半数が動物系。
中でも際だっているのがワシやタカの猛禽類。
精かんな美で古来より男達を魅了してきた。

強く美しいもののシンボルとなっている。
例えばハクトウワシは米国の国鳥。
ナチスの親衛隊の制帽にもワシの帽章。
党旗もハーケンクロイツとワシのセット。

軍隊の部隊マークでも虎や獅子と並ぶ双へき。
戦車隊など地上部隊でも使われている。
名ボクサー具志堅用高氏の異名もカンムリワシ。
同鳥のカンムリはまさに強さと美の象徴。

アラブではタカが男のステータスシンボル。
タカを持つ事が一人前の男の証しとなる。
立派なタカが誇りになる。
彼らはタカに畏敬の念を持って接する。

興味のない人も目の当たりにすると反応する。
精悍な美と迫力に圧倒され、瞳孔が開く。
美と強さの象徴であることを実感する。

日本では環境保護のシンボルになっている。
絶滅危惧種は多いが保護活動の切り札でもある。
営巣域は聖域、繁殖期は近づくことも厳禁。
開発工事が縮小や中止にいたる例もある。

一方で密猟者も執ように暗躍する。
美しさ故に需要が高いからだ。
アラブの男達と同じ願望を持つ日本人もいる。
剥製としても高価なのだ。
もちろん禁制品だから闇市場での話。

ハゲワシの悲哀

ところが親戚でありながら逆の存在もいる。
ハゲワシは死肉を漁る不吉な死神。
形態は近いのに美や強さのイメージゼロ。
ただ頭が禿げているだけなのに。

その生態、生き方に起因する。
病死や事故死の死体、他人のおこぼれが糧。
「下品なツラして誇りのかけらもないのか。」
人間の目にはそう映る。

彼らを蔑むとしたら人間の思い上がりだ。
彼らはそれが神から与えられた生き方。
環境破壊や乱獲密猟で絶滅させる人間とは違う。
彼らは殺生をしない、そこが根本的に違う。

あくまで仏だけをむだなく処理する。
まさに掃除屋、死体処理業者だ。
間違いなく生態系の維持に貢献している。
チベットでは人も死後彼らの世話になる。
鳥葬だ。当地では死者を天に導く神の使い。

しかし彼らを欲しがる人間はいない。
密猟者も見向きもしない。
ワシタカへの憧れはやはり美が根底にある。